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大図 章; 米田 政夫; 呉田 昌俊; 中塚 嘉明; 中島 伸一
日本原子力学会誌ATOMO, 59(12), p.700 - 704, 2017/12
ウラン廃棄物ドラム缶内のウラン量を定量する従来の非破壊測定法では、内容物の種類やウランの偏在に起因する測定誤差の大きさが問題となるケースや、さらに長時間の測定時間が必要となる測定上の問題がある。このような問題を解決する高速中性子直接問いかけ法というアクティブ中性子非破壊測定法を開発し、実廃棄物ドラム缶のウラン定量に実用化することができた。本報では、本測定法を概説するとともに今後の展望について解説する。
山内 通則*; 落合 謙太郎; 森本 裕一*; 和田 政行*; 佐藤 聡; 西谷 健夫
Radiation Protection Dosimetry, 116(1-4), p.542 - 546, 2005/12
被引用回数:3 パーセンタイル:24.22(Environmental Sciences)核融合炉にはRF加熱ポートや計測用プラグ周りの間隙等、屈曲を設けた放射線ストリーミング経路が幾つかあり、遮蔽設計上の問題となる。モンテカルロ計算はストリーミング効果の詳細評価に重要であるが、一方簡易計算はストリーミング効果を軽減するための設計オプションの選定に有効である。実験と解析によりこれらの計算法の信頼性を評価した。実験は原研FNSの14MeV中性子源により、高さ170cm,幅140cm,厚さ180cmの遮蔽体に断面が30cm30cmの2回屈曲ダクトを設けた体系で行った。モンテカルロ計算は実験体系,線源周り構造体、及び実験室を詳細にモデル化し、MCNP/4CコードとFENDL/2及びJENDL-3.3ライブラリーを用いて行った。実験値との差は30%以内であった。簡易計算はDUCT-IIIコードによって行った。その結果は屈曲によるストリーミング成分の変化を良好に再現し、充分な信頼性を持つことを確認した。すなわち、モンテカルロ計算法とともに簡易計算法もまた遮蔽設計評価のために有効な役割を果たすと期待できる。
森本 裕一*; 落合 謙太郎; 佐藤 聡; 堀 順一; 山内 通則*; 西谷 健夫
Fusion Engineering and Design, 69(1-4), p.643 - 648, 2003/09
被引用回数:4 パーセンタイル:31.64(Nuclear Science & Technology)ITERでは、運転停止後にクライオスタット内で人間による直接保守作業を実現することが重要な課題であり、停止後の線量を精度よく評価する必要がある。しかしながら停止後線量評価手法の精度は実験的に確認されていなかった。原研FNS(Fusion Neutronics Source)では、線量評価手法の精度評価を目的としたベンチマーク実験を実施した。実験は、線源領域と直管ダクトでつながれたキャビティー(作業空間)を模擬した体系で実施し、14MeV中性子を合計60時間照射後、冷却期間をITERで想定されている10秒(11.6日)として線量を測定した。ITER JCTで開発されたモンテカルロ法に基づく線量評価手法を用いて、照射10秒後における1cm線量当量率を評価した結果、この手法は実験値を10%以内の精度で再現可能であることがわかった。
春山 満夫; 荒 克之*; 高瀬 操*
日本原子力学会誌, 43(4), p.397 - 404, 2001/04
被引用回数:3 パーセンタイル:27.1(Nuclear Science & Technology)加速器を用いたアクティブ中性子法において、従来の検出法では、核分裂性物質が廃棄体の中心部と最大半径部に存在する場合、100倍以上に達する非常に大きな位置検出応答差が発生し、定量精度及び信頼性を悪化させ、また、中心部の検出が不可能となったりするという問題があった。今回、これらの諸問題を一挙に解決できる新しい検出法(14MeV加速器中性子を廃棄物固体に直接問いかける検出法)を考案し、この検出特性について測定実験により確認するとともに、理論解析による検出原理の解明を行い、良い結果を得た。本稿では、今回提案する新検出法の独特な検出特性と固化廃棄体測定に対する有効性について、従来検出法と比較しながら述べる。
春日井 好己; 池田 裕二郎; 坂根 仁*
Nuclear Science and Engineering, 136(2), p.258 - 264, 2000/10
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Nuclear Science & Technology)14MeV中性子に対するO(n,p)N反応の断面積を放射化法で測定した。DT中性子源としては原研FNSを使った。封入したO濃縮水をDT中性子場で照射し、その後半自動気送管で試料をGe検出器正面まで輸送し半減期4.7秒のNの放射能を測定した。測定結果は、14.90.1,14.40.1,13.70.1MeVの中性子エネルギーに対してそれぞれ235,114,7mbとなった。今回の測定によって、この反応断面積に対する14MeV付近の励起関数が初めて明らかになった。これによって核融合炉で冷却水として使われる水の放射化によるNの生成量を適切に評価することができた。
池田 裕二郎; 春日井 好己; 前川 藤夫; 宇野 喜智; R.Johnson*; E.T.Cheng*
Fusion Technology, 34(3), p.714 - 718, 1998/11
低放射核融合構造材候補として開発されているバナジウム合金の14MeV中性子による放射化特性を実験的に調べた。米国GAで開発した組成の異なる3種類のバナジウム合金を原研FNSの14MeV中性子で照射して照射試料から放出される線を検出し主要な誘導放射能の生成量とともに、特に、合金製造過程で混入する不純物を定量的に求めた。気送管を用いた短時間照射(1分)ではTi,V,Sc,Sc等の主要放射能に加えて、シリコン不純物によるAlが検出された。放射能量から求めたシリコンの量は410から1710ppmの範囲であったが、ほぼ予想された値であった。一方、長寿命放射能を対象として180時間の連続照射(中性子束は約310n/cm)の結果、Sc,Cr等の放射能の他にNb(n,2n)Nb反応生成物のNbが観測された。その結果、30~50ppmのニオブが含まれていることがわかった。低放射化を目指すには、ニオブの量をさらに一桁低減する必要性が明かとなった。
西谷 健夫; 原野 英樹*; G.A.Wurden*
放射線, 24(1), p.67 - 76, 1998/01
JT-60Uにおけるトリトン燃焼研究を目的とし、シンチレーションファイバーを用いた指向性14MeV中性子検出器をロスアラモス研究所との協力研究により開発した。3cm10cmの円柱に91本の穴を開け、それぞれ1mmのシンチレーションファイバーを挿入し、高速光電子増倍管に接続した。検出器の特性はロスアラモス研の1BF中性子源及び原研のFNSを使用して測定した。その結果指向性は40°程度で、そのままでは、14MeV発生プロファイル測定には不十分なため、小型のコリメータ内に検出器を組み込んだ。JT-60Uでは、この検出器を用い、中性粒子加熱時にトリトン燃焼により発生する14MeV中性子の時間変化を10msの時間分解能で測定することができた。
春日井 好己; 池田 裕二郎; 山本 洋*; 河出 清*
Annals of Nuclear Energy, 25(7), p.421 - 435, 1998/00
被引用回数:15 パーセンタイル:74.78(Nuclear Science & Technology)(n,)反応の部分的な励起関数のシステマティクスを中性子エネルギーが13.3から15.0MeVの範囲で、名大と原研FNSグループが測定したデータを使って調べ、14.0MeVでの断面積と相対的な傾きを表す経験式を導出した。相対的な傾きの経験式は反応の実効的なしきい値の関数で表した。また、断面積の経験式は2つのパラメータをもつ簡単な式で表した。経験式を使って13から15MeVでの部分的な励起関数を再現し測定値と比較した結果、計算値は30%の精度で実験値を再現した。
原野 英樹*
JAERI-Research 97-060, 132 Pages, 1997/09
プラズマ中の高速イオンの挙動解明は核融合炉実現のための必須条件であり、トリトン燃焼はそのための最も有効なアプローチの一つである。本研究ではトリトン燃焼の時間変化測定のため、指向性DT中性子検出器シンチレーションファイバ検出器を開発し、JT-60Uに設置した。本検出器は耐放射線性に優れる他、核融合放射線場からDT中性子のみを高時間分解能、かつ高ダイナミックレンジにて選別し測定するという特長を持つことを各種性能試験により確認した。またJT-60Uにて本検出器により測定した放電中のDT中性子発生率の時間変化をOFMCコード等を用いて解析した結果、トリトンの減速過程は古典的減速モデルに従うこと、トリトンの古典的輸送過程はリップル輸送に支配されること等、高速イオンの挙動に関する幾つかの有益な知見が見られた。
佐藤 文信*; 大山 幸夫; 飯田 敏行*; 前川 藤夫; 伊達 道淳*; 高橋 亮人*; 池田 裕二郎
Fusion Technology 1996, 0, p.857 - 860, 1996/00
ITERにおいて、プラズマ診断用窓材料の14MeV中性子照射効果を調べることは重要である。その照射効果の1つに窓材料からの発光がプラズマ診断を低下させることが考えられる。従って、14MeV中性子あたりの窓材料からの発光量を測定することは重要な課題である。本研究は原研FNSを利用して、窓材料として代表的な石英ガラス、サファイアからの14MeV中性子誘起による発光量を測定した。また、14MeV中性子誘起発光の効率はCo線照射に比べて、効率が低く、窓材料の発光効率にも線質効果があることがわかった。本研究で求められた14MeV中性子誘起による発光特性は核融合実験炉のために有効なデータの1つである。
M.Hoek*; 西谷 健夫; M.Carlsson*; T.Carlsson*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A, 368, p.804 - 814, 1996/00
被引用回数:19 パーセンタイル:81.69(Instruments & Instrumentation)DDプラズマ中で発生する1MeVトリトン(T)はDTプラズマで発生する3.5MeV粒子と運動パラメータがほぼ同じであるため、Tの挙動から粒子の挙動を類推することができる。1MeV Tは、プラズマ中で減速し、DT反応を起こして14MeV中性子を放出する。ここでは、DD反応による2.5MeV中性子とトリトン燃焼による14MeV中性子の発生量を放射化箔法で測定した。測定されたトリトン燃焼率(14MeV中性子/2.5MeV中性子)は、プラズマ電流とともに増加し、プラズマの大半径とともに減少しており、トリトンに対するリップル損失を示唆している。
中田 正美; 正木 信行; 佐伯 正克; 荒殿 保幸; 池田 裕二郎; 遠藤 和豊*
SIF Conf. Proc., Vol. 50 (ICAME-95), 0, p.99 - 102, 1996/00
セレン酸鉄(II)に14MeV中性子照射をおこない、鉄(II)が鉄(III)に変化した量を、メスバウア分光法で測定した。その結果セレン酸鉄(II)の線照射による結果及びCoでラベルしたセレン酸コバルト(II)の発光法による結果と比較検討した。14MeV中性子照射後の鉄(III)の生成量は、1水塩の方が5水塩より多いことが分かった。これは、線照射とCoのEC壊変にともなう鉄(III)の生成量が5水塩の方が1水塩より多いという結果と大きな違いを示している。セレン酸鉄(II)5水塩の構造は、鉄原子が4個の水分子に囲まれている。14MeV中性子照射では、核反応で生成した荷電粒子などが、鉄へおよぼす酸化作用をその水分子が阻害しているためと考えられる。
池田 裕二郎; A.Kumar*; 小迫 和明*; 今野 力; 大山 幸夫; 前川 藤夫; M.Z.Youssef*; M.A.Abdou*; 前川 洋
Fusion Engineering and Design, 28, p.769 - 775, 1995/00
核発熱は核融合炉設計における基本的な核的パラメータである。カロリメーターを用いて開発した直接測定法により、14MeV中性子が支配的な場での主要構造材を対象とした測定データが、関連する核データの妥当性検証に有効であることを日米共同実験で示した。本件研究では、14MeV中性子のみならず、低エネルギー中性子及び2次線が支配的な遮蔽構造材SS304鋼中の核発熱率分布測定とその解析を示す。測定プローブとして、505050mmのSS304ブロックを用い、中性子照射に伴う温度上昇からSS304体系中の表面から深さ200mmまでの核発熱率を求めた。実験体系中の急な中性子束勾配に伴う熱流速の時間依存性を考慮し、ADINAT核熱結合計算コードを用いた計算値と測定値を比較した結果、20%以内で良く一致し、JENDL-3に基づくKERMA係数の妥当性が実験的に示された。
野田 健治; 中沢 哲也; 大山 幸夫; 前川 洋; 金田 潤也*; 木下 智見*
Fusion Engineering and Design, 29, p.448 - 454, 1995/00
被引用回数:10 パーセンタイル:66.33(Nuclear Science & Technology)核融合炉には多くのセラミックス絶縁体が使用される。核融合炉の運転中、これらの絶縁体は14MeVまでのエネルギーをもつ中性子にさらされ、照射誘起電気伝導(RIC)によりその絶縁抵抗が低下する。本研究では、原研の核融合中性子工学用14MeV中性子源(FNS)を用い、世界で初めて、アルミナの14MeV中性子照射下における絶縁抵抗の挙動をその場測定した。本発表では、測定に用いた測定用照射チェンバーの概要を述べるとともに、これを利用して測定した室温における最初の予備的測定結果を示す。
野田 健治; 浜田 省三
原子力工業, 40(2), p.33 - 34, 1994/00
核融合炉材料はその使用環境下で14MeVまでの高エネルギー中性子に曝され、大きなはじき出し損傷を受けるとともに、水素(トリチウムを含む)及びヘリウムが導入される。これらの重畳作用により核融合炉材料の顕著な特性変化や耐久性劣化が生ずることが予想されており、核融合炉開発に向けて、耐放射線性の高い材料の開発が求められている。材料開発のためには、高エネルギー中性子照射試験施設が不可欠であるが、そのような施設は現存しない。そこで高度の近似手段として、重イオン、ヘリウム及び水素イオンを同時に照射することのできるトリプルビーム照射実験装置の整備を進めている。ここでは、その装置の特徴を述べるとともに、これを利用して行うことを予定している材料研究の紹介を行う。
池田 裕二郎; A.Kumar*
Proc., Int. Conf. of Nuclear Data for Science and Technology,Vol. 1, 0, p.193 - 200, 1994/00
新たに開発したマイクロカロリーメーターによる14MeV中性子源FNSを用いて核融合炉構成候補材(黒鉛、チタン、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、ジルコン、ニオブ、モリブデン、錫、タングステン、SS316、炭酸リチウム)を対象に行った核発熱率測定実験を紹介する。さらに、JENDL-3等核データの核発熱率予測精度の検証を目的として、測定データをもとに行った実験解析結果を示す。本件では、これまでに行った開発研究を総合的にレビューすると共に、今後の研究課題、動向について述べる。
春日井 好己*; 山本 洋*; 河出 清*; 池田 裕二郎; 宇野 喜智; 前川 洋
Proc., Int. Conf. on Nuclear Data for Science and Technology,Vol. 2, 0, p.935 - 937, 1994/00
14MeV付近の中性子による放射化断面積は数多く報告されているが、短寿命核生成反応断面積のデータは量、精度共に不十分である。データの充足要求に応えるために、Ti,Fe,Zn,Ge,Ga,Sr,Zr,Baを標的として、半減期が18秒から29分の短寿命核を生成する15反応の断面積を13.4から14.9MeVの範囲で測定した。中性子は、原研FNSを用いて、T(d,n)He反応で発生させた。試料を0゜、45゜、70゜、95゜、120゜、155゜の角度で照射して13.4MeVから14.9MeVの中性子エネルギー領域を確保した。照射位置での中性子束は210n/cm/s程度であった。8本の気送管を使い試料を照射位置に移送した。断面積は、Al(n,p)Zn,Zr(n,np)Y,Sn(n,np)In及びBa(n,p)Csのデータは今回初めて測定できた。
池田 裕二郎; 今野 力; 大山 幸夫; 小迫 和明*; 大石 晃嗣*; 前川 洋
Journal of Nuclear Science and Technology, 30(9), p.870 - 880, 1993/09
被引用回数:22 パーセンタイル:86.8(Nuclear Science & Technology)中性子核断面積測定の基準として重要な反応、Al(n,p)Mg,Al(n,)Na,Fe(n,p)Mn,Zr(n,2n)Zr及びNb(n,2n)Nbの反応断面積をD-T中性子源FNSを用い13.3から14.9MeVのエネルギー範囲で絶対測定した。断面積は、各反応の放射化率と随伴粒子計数法で求めた中性子発生率及び角度依存中性子スペクトル分布を考慮して決定したサンプル位置での中性子束から求めた。角度依存中性子スペクトルはモンテカルロコードMORSE-DDで計算し、その妥当性はTOF法で測定した実験値で検証した。
春日井 好己*; 田中 晶彦*; 浅井 雅人*; 山本 洋*; 加藤 敏郎*; 飯田 敏行*; 高橋 亮人*; 河出 清*
JAERI-M 93-124, 41 Pages, 1993/06
半減期が21分から21秒程度の短寿命核生成断面積を、中性子エネルギー13.4から14.9MeVの範囲にわたり、Ru,Pd,Sn,Cdの(n,2n),(n,p),(n,),(n,np)反応のうち18反応を測定した。また、14MeV中性子で生成される短寿命核の半減期の測定を、Rh,In,Inの3核種に対して、Ge検出器を用いてスペクトルマルチスケーリングモードで行った。
池田 裕二郎
放射線, 19(3), p.39 - 47, 1993/00
マイクロカロリーメーターを適用して14MeV中性子による核発熱率を直接測定する方法を開発した。原研FNSを用いて、核融合炉構成候補材、黒鉛、チタン、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、ジルコン、ニオブ、モリブデン、錫、タングステン、SS316、炭酸リチウムを対象として、14MeV中性子核発熱を照射中の温度上昇率の測定により導出した。得られた結果をもとに実験解析を行い、JENDL-3等核データの核発熱率予測精度の検証を行った。本カロリーメータの温度変化率測定限界は10K/sであり、これは中性子束が10/cm/s以上であれば十分な精度で直接的に核発熱の測定が可能であることを示す。本件では、これまでに行なった、実験及び解析についてレビューすると共に、今後の研究課題、動向について述べる。